名作「刑事コロンボ」に見る必死の掛け方(2)

名探偵見聞録

「必死」とは将棋用語で、絶対に負けしかない、相手の次の王手で詰まされてしまう状態になったことを指し、犯人がコロンボの捜査によってもはや逃げられないお手上げ状態となっていることを、このコラムでは指しています。そして、コロンボがどのように犯人をこの「必死」に追い込んだかを、将棋の用語を使ってこのコラムでは分析します。

◎第2話 「死者の身代金」(120分/1973年7月7日NHK総合TVにて放送)

シリーズ化を前提としたパイロット版として制作。

(原案)リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク

(監督・製作)リチャード・アーヴィング

(ストーリー)女性弁護士が考えた、夫の殺人の偽装誘拐によるアリバイ工作のトリックを、コロンボが犯人の女性弁護士の使った手を切り返して、物的証拠を引き出して見事にアリバイを崩す。

(出演)犯人役 リー・グラント

  • 犯人が犯罪に使ったトリック 偽装誘拐
  • 殺人方法 射殺
  • コロンボが逮捕に使ったトリック 「人は相手を自分と同じと考える」
  • 必死の決まり方 「切り返し」

物的証拠が誘拐犯人に渡した身代金だけしかなく、その金、物的証拠をコロンボが犯人と睨んだ被害者の妻、女弁護士のレスリーにどう使わせるか考えた末、コロンボが使った手が「切り返し」であった。

将棋の必死の掛け方の一つである「切り返し」とは、相手が詰み筋を防ぐために用意した手を、逆用して詰ませることを言うが、レスリーに犯行を知っていることをほのめかした義理の娘のマーガレットの口を封じようとするためにとったレスリーの手を逆用して、必死をかけ、コロンボは犯人を逮捕、詰まします。欲が強く計算高いレスリーは、義理の娘マーガレットから、金をもらえば殺人のことは忘れてしまうと言われ、マーガレットも結局は金でカタがつく、金が手に入れば親を失った恨みや悲しみを忘れてしまう、彼女も自分と同じで欲が強く計算高いと考えて、マーガレットを金によって口封じしようとしますが、それは物的証拠(ナンバーを控えた身代金)を使わせるための、コロンボがマーガレットを使った「切り返し」だった。

犯人の性格(欲深さ)という不確かなものから、物的証拠(ナンバーを控えた身代金)という確かなものを導き出した、コロンボの切り返しのテクニックが素晴らしい。

★番組エピソード この回では、日本語吹き替え版で盛んに出て来る、コロンボの口癖の「カミさん」が、まだ「女房」となっていた。そして、コロンボはこの時点では、実際に奥さんはいない設定になっていて、捜査テクニックとして、コロンボは架空の奥さんの話をしていたことになっている。

 

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